川島織物セルコン 織物文化館
この日の京都は、朝から局地的な豪雨に見舞われるため、着物を断念し洋服で。
きもの学に行く前の午前中に、Kさんにお誘いいただき、初めて 川島織物セルコン の 織物文化館 へ行ってきました。勝野の本業はインテリアデザイナーですから、川島織物セルコンは、壁紙・カーペット・カーテン・椅子張地など、(セルコンと合併する前から)とてもよく知っている会社です。京都に本社があることは知りつつ、まだ見学に来たことが無かったので、とてもいい機会になりました。
出町柳から叡山電鉄で鞍馬方面へ乗り市原駅で下車。山の中の小さな無人駅に少し不安になりながら、徒歩7分ほどで無事に川島織物セルコン本社に到着。雨雲に霞む山の中!
織物文化館がある建物はモダニズム建築。
織物文化館のエントランスホールにはイサム・ノグチの彫刻!
エントランスを入った一階ロビー。床の現テラ(現場磨き出しテラゾー)が、懐かしい、いい味を出しています!
織物文化館の展示スペース導入口だけ1カット。
織物文化館の展示はすべて撮影禁止だったのが、とても残念でした。展示物には神坂雪佳デザインの壁紙・タペストリーの実物、迎賓館の内装デザインや高級客船の内装デザインの緻密なパースペクティブの大きな原画があるのですよ!!!内装屋にはたまらん展示が目白押し!これはヤギと一緒に再訪せねばなりませぬ。
北野さんのご紹介もあり、織物文化館の館長さんとお会いすることができました。きもの学の講座があるのでおいとまさせていただく時間が迫る中、館長さんがせっかくなので、と10分くらいの駆け足ですが、別棟の特注物の緞帳を製作している工場を特別にご案内してくださいました。工場には極秘の素晴らしい緞帳があり、それはそれはすごくて。(撮影不可)また手織りの帯の製作場も見せていただけました。
これはまったく時間が足りませぬ。内装屋としてはさらに別棟のカーペット・壁紙・椅子張地の工場も見学したいので、後日あらためて取材と見学を兼ねてアポを取りたいと思います!
きもの学
きもの学 @京都、六日目。
■講義テーマ【西陣の伝統・技・文化】
講師:舞鶴一雄先生((株)西陣まいづる /代表取締役社長)
西陣のこだわりのものづくりと西陣織の原点、手機、職人の技。
帯の三大産地、西陣、博多、桐生の違い。西陣の歴史、西陣織の特徴、帯の製造工程、帯の種類、織物の組織について。各テーマごとに、たくさんの詳細な写真とムービーによる講義で、西陣織の特徴をとてもよく理解することができました。書籍で理解している以上に、ポイントがよくつかめ、きもの文化検定にめっちゃめちゃお役立ち!
西陣織の職人さんも年々少なくなり、今ではできなくなってしまった技術もあるそうです。織機のメンテナンスができる職人さんもごくわずかですし、絹糸を作る職人さん、染織りの職人さん、どんどん減っています。後継者を育てるために、どうにかしていかねばならない厳しい現状を改めて理解しました。
きもの文化、日本の文化を伝え、技を絶やさず残していくための、熱いメッセージが、とても心に染みました。
西陣まいづるの社長さん、とてもお洒落で素敵なお着物をお召しでした!(ちゃんと撮影させていただけばよかった…)
■講義テーマ【友禅染】
講師:岡島重雄先生((株)岡重 /代表取締役社長)
友禅染が大衆化していく過程のきもの文化について。
キッチュでカッコいいデザインの長襦袢地と羽裏地で有名な、岡重の社長さんによる講義。岡重さんの歴史、友禅染(流し友禅〜型染め友禅)の歴史と成り立ち、浮世絵から受け継がれるデザインのおもしろさカッコ良さ、時代による変化とこれからのものづくり、友禅の可能性、これからの友禅染めの継承について。
型染め友禅もどんどん職人さんが減ってきています。これからの技の継承がこちらも大切になってきます。
今回、西陣織と友禅染のお話を拝聴してみて思ったことは、過去の日本の絵師のデザインや日本の文様や古典図柄を用いるだけではなく、現代の若者が着てみたくなる「キッチュでカッコいいクールなデザイン」ができる現代の絵師(デザイン)が求められているのではないでしょうか。もちろん過去のデザインと文様と図柄をよく研究した上での新しいデザイン。心にぐっと響く、おもしろいデザイン、洗練されたデザインが増え、新しいきもの文化が成り立っていくよう、いろんな分野から模索を続けていかなくてはいけません。とても難しい時代ではありますが、良いデザインは国境、時空を越えて残っていくものです。勝野屋の活動で、これからいろいろとデザインの分野で試していきたいと思います。
京のいっぷく
講座終了後は「 六曜社 」@三条河原町で一服。地下店が満席だったので、一階店で。いつも夜には売切れている久しぶりのドーナツと珈琲。
次の日のきもの学最終日は、体力尽きて断念。清田先生すみません…。
きもの学の講義で学んだことを、書籍でも調べ直して復習し、きちんと自分の知識になるようにしたいと思います。これを継続して、きもの文化検定へ向けてがんばります〜。